最終更新日 2月 2023

クリーンルームでの適切なウェア着用で汚染リスクを最小化

無菌クリーンルーム環境から作業者の汚れや細菌を取り除くことが、滅菌クリーンルームウェアの主な目的です。クリーンルームの作業者にとって重要なことは、ウェア着用時に保たれる最高レベルの無菌状態を実現するクリーンルームウェアを選ぶことです。



Kimberly-Clark Professional™は、2年以上かけてクリーンルームの作業者にインタビューし、職場に訪問し、従来の滅菌クリーンルーム用ウェアの特徴や機能を評価して、改善の余地がある領域を特定しました。 

調査結果のポイント:

  • 無菌クリーンルームでのウェア着用は、大多数のクリーンルーム作業者にとって5分~10分程度の時間を要します。  約3分の1の作業者が、カバーオールの着用は6ステップある着用手順の中で最も難しく、着用時間全体の平均30%を要すると回答しています。  作業者は、着用時の外面汚染が原因で、毎週平均10%のクリーンルーム用滅菌ウェアを廃棄しています。
  • 多くの新人作業者の場合、クリーンルーム入室を許可される前にcGMPの着衣手順に関する30時間の初期トレーニングが必要で、また毎週平均6時間の継続的なトレーニングも必要になります。 
  • 50%以上の作業者が、フィット感がないためにウェアが裂けたり、ふくらんだりすると回答しています。 
  • 3分の1の作業者が、パッケージの見た目が理由でウェアの無菌性を確信できないと回答しています。 
  • 約87%の作業者が、より快適で汚染のリスクが少ないウェアであれば、新しいウェアへの切り替えを検討すると回答しています。 
  • 仕事場での科学的調査では、体温のゆるやかな変化が集中力を大きく低下させ、リスクを誘発する行動を増やすことが明らかになっています。体温を一定に保つことができない作業者は、けがをしたり、休業せざるをえなくなったりして、生産性が低下する傾向にあります。
「製薬業界では、製品を市場に投入するために莫大な投資を必要とします。製品の不合格やリコールには法外なコストが発生するため、クリーンルームの清浄度と無菌性を厳密に確保することが非常に重要となります。」 

社内研究開発:新しい着用アプローチをデザインする

Kimberly-Clark Professionalの多機能製品開発チームは、今回の調査で明らかになった問題点を解決するために、滅菌ウェア着用の新しいアプローチのデザインに着手しました。その結果誕生したClean-Donテクノロジーには、以下のような特徴が備わっています。

  • 特許出願中のスナップ技術では、ウェアが床に触れるリスクを軽減するために脚や腕の部分にスナップが付いており、着用時には自動的にスナップが外れるようになっています。 
  • 革新的なウェアの内側を外側にするたたみ方は、開封時にウェアの内側が見え、ウェアの外側に触れて汚染するリスクを軽減します。
  • ウェアの内側に沿っている視認性の高い青いラインは、着用時につかむ場所を示しており、作業者がウェアの外側に触れないつくりになっています。親指用ループは、ウェアの袖がまくりあがるのを防ぎ、手袋とウェアの境界をキープするのに役立ちます。
  • 独自プロセスで新品のウェアを包装し、無菌性を保証します。この技術は真空密閉プロセスを採用し、通気性の高いSMS素材にガンマ線を照射して滅菌します。 
  • 胸囲を12%、身丈を6%大きくしたゆとりのあるデザインにより、ANSI規格の最小値のウェアよりも裂けにくくなりました。 
  • SMS(スパンボンド-メルトブローン-スパンボンド)素材は、布のような肌触りで、TYVEKの25倍の通気性があります。

バリデーションとトレーニング:新しいアプローチを定着させる

新しいクリーンルーム用滅菌ウェアのバリデーションに必要なステップのひとつは、ウェアの認証をしっかりと確認することです。ウェアのサプライヤーには、以下を要求してください。

  • 適合証明書 – 特定の製品ロットがリリースされる前に、そのロットがすべての仕様に適合していることを立証するものです。物理的特性は、関連するASTM規格に従ってテストされている必要があります。粒子は、関連するIEST規格に従ってテストされている必要があります。
  • 照射証明書 – 製品に照射した最小量と最大量が記載されています。照射量が立証されていること、配置パターンが十分であること、およびプロセスが定期的に監査されていることを確認できる滅菌バリデーション文書を求めてください。
  • ほぼすべての製薬会社では、新しいウェアのバリデーションを3~9か月間かけて行います。その間、新しいウェアはコントロールされたエリアで着用されることになりますが、必ずしもウェアの着用を想定している実際のクリーンルームである必要はありません。多くの製薬会社では、新しい滅菌ウェアもバリデーションと承認の前に3ロット分のテストを行う必要があります。場合によっては、実際の環境の手順の変更が必要になることもあります。

結論

新しいクリーンルーム用滅菌ウェアのバリデーションは、決して軽々しくできることではありません。しかし、滅菌ウェア着用の新しいアプローチが、着用プロセスの改善、作業者によるミスの可能性の低減、汚染のリスクの最小化に役立つのであれば、製薬会社に切り替えを検討する強い動機を与えることになります。